Sep 26, 2010

フォトフェイシャル施術について

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 フジテレビの木曜深夜で、数々のヒットアニメを送り出してきた“ノイタミナ”枠。「アニメの常識を覆したい」という制作スタッフの思いから、「animation」を逆さ読みした名称が付けられたその枠からは、『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』『東のエデン』『東京マグニチュード8.0』など、多くのヒット作品が生み出されている。

【拡大画像や中村健治監督などの画像】

 そんなノイタミナ枠で4月14日から毎週木曜24時45分(初回放送のみ25時5分)から放送されるのが、「お金と未来」をテーマにしたオリジナルアニメ『C』だ。経済学部に通う主人公が、自分の未来の可能性を担保として貸し出されたお金をもとに、取引というバトルに身を投じていく……という物語である。

 近年、『カイジ』『LIAR GAME』などお金をテーマとした作品が注目を集めているが、全体として現実と離れたものをテーマにすることが多いアニメでは異色の話。『C』はどのような思いのもとに制作されているのか、中村健治監督(41)に尋ねた。【堀内彰宏,Business Media 誠】

●世の中にすばらしい人がたくさんいることに感動した

――なぜお金をテーマにしたアニメを作ることになったのですか。

中村 『C』の企画が立ち上がったのはリーマンショック後の2010年1月くらいの時期で、当時は不景気の絶頂だったんです。世の中がかなり暗くて、電車に乗っていても人身事故でよく電車が止まったりするような。

 今は不況が当たり前になってきて、痛みというよりは日常に近付いてきているのですが、当時は急速に世の中が悪くなっていたので、その変化にみんな苦しんでいました。「もう日本はダメなんじゃないか」と極端な人はそういうことを言い始めたりしていた時期です。

 最初はお金ではなく、経済に絞ったネタにしようと思っていたんですね。『C』よりもっと軽いものを考えていて、「世界中をまたにかける経済バトルみたいなものを作れないかな」と。

 企画を練るに当たっては、まずネタがないと作れないので、取材をすることにしました。普段メディアで名前を出して記事などを書かれている方たちは責任が生じるので、データがそろっていないことについてキレのあることを言いづらい、分かっていても表では言わないことがあるんじゃないかと考えて、オフレコの取材なら、いろんなことを聞けるのではないかと甘い予測をして始めました。

 当時、メディアで専門家や論客が出演して、国の行く末を語るといったことが、よく行われていました。僕は正直、みなさんがそれぞれの立場で自分の主張をしているのを見て「いろんなことがごちゃごちゃしているな」と思っていました。みんな自分の守備範囲で分かることは言っているのですが、全部のものを並べて比べて、「これが妥当だろう」と話している人がいるかどうか分からなかったのです。

 メディア嫌いで新聞やテレビには出ていないけど、この人が正しいという人に、出会えるかもしれないとも想像していましたが、そういう甘い見込みのもとに取材を始めたら、「そんな人は世の中にいない」ということが続ければ続けるほど分かってくるわけなんですけどね(笑)。

――どのように取材を進めていきましたか?

中村 最初は文献レベルですが、お金の歴史を調べました。中学生〜高校生レベルの話だと思うのですが、お金の成り立ちや、機能が時代によって変わっていることなどを理解して、「次はお金に詳しい人の話を聞こう」ということになりました。

 僕らはお金や経済に関しては素人なのでどの意見や立場が正しいのか分かりません。僕らの意見があるわけでもないので、それを強みとして多様な立場や意見の方に幅広く当たって初歩から教えていただこうと、アポイントを取りお話をうかがったのです。

●元カリスマ・トレーダーやNPO系銀行の運営者を取材

――どういう分野の人たちを取材しましたか?

中村 会計から金融、政治家、中央銀行にいた人から大学の先生まで幅広いです。今の金融の仕組みの中である程度成功している人を取材した一方、政府にも企業にも属さずNPOで活動されている方にもお会いしました。「人によって意見がこんなに違うんだ」と愕然としましたね。同じ人から何回もお話を聞いたりもしましたが、2010年2月から8月ころまでに全部で20回以上取材しています。

 まずは経済の専門誌の編集者の方に取材させていただきました。その時、「この世界にすべてを知っているエコノミストはいない」とはっきり言われたんですね。経済というのはプロ野球の優勝チームを予想するようなもので、たまたま今年当てた人が正しいと言われるだけで、来年は誰が当てるか分からない。もちろん1人1人は専門知識を持つプロなのですが、野球の解説者みたいなもので、取材を重ね、分析したデータを元に「俺だったらこうする」「ここであいつ投入だろう」という意見が語られているという事なんですね。

 専門家のレベルでは、数学などいろんな領域が絡んできます。ただ、最終的には人間が関わっていることなので、心理や複雑に絡み合う事象があり、結局、完璧には予想できないんです。当たり前なのですが、「化学の実験みたいに、環境を整えたら毎回同じ結果が出るということではない、ということなんだ」と分かりました。「おいしい経済のお話みたいな作品は作れないんだな」ということを理解するまでに時間がかかってしまいました(笑)。

 この最初の取材が縁で、東洋経済新報社の大坂直樹副編集長には、後にアニメの監修としてアドバイスをいただくことになります。

 それから、元・外資系銀行のカリスマ・トレーダーで、僕らからすれば天文学的なお金を動かして稼いだ著名な方にもお話をうかがいました。行ったら、とても良くしていただいて。「お前ら上がれ」と言われて、「すみません」みたいな感じで入ると開口一番「それでお前ら、何が聞きたいんだ」と尋ねられて。「ああ、すみません。初歩の初歩からお願いします」と答えたら、「何だと。ちょっとお前らお茶でも飲んでろ」と言われ、待っていると著作をバーッと並べられて、「まず、これをやる。読んでから来い」と(苦笑)。

 そこからのスタートでしたが、為替の話や米国で経験した話などを聞きました。投資銀行のトップ数%の人たちがどんな話し合いをして、数兆円のお金を動かしていたかという話、巨額のお金を動かすことがどれだけ精神的なプレッシャーとなるかという話などがあって面白かったですね。

 金融大国である米国の姿についても、世間ではいろいろ批判はありますが、「そうは言っても、世界がそういうルールなんだから。そんな甘っちょろいこと言っていたらやられてしまう。批判するのはまずは強くなってからだ。相手が持っている武器を使いこなさずして、対等の話はできない。今の日本はいいようにやられている」と仰っていました。今の日本の姿が悔しくて仕方がないらしくて、「俺にやらせろ!」と言っていました(笑)。

 一方、NPOの方では、未来バンク事業組合を運営している方にお話をうかがいました。

 未来バンクは銀行ではないのですが、銀行のように環境系の取り組みへの融資を行っています。例えば、日本の家庭の中でも古い冷蔵庫はかなり電気を使っているんですね。そこで、冷蔵庫を買い替えるためのお金を融資して、地元の電器屋で新しい冷蔵庫を買ってもらうといったことをしています。冷蔵庫はここ10年くらいで電力使用量がかなり少なくなっているので、買い替えると電気代がかなり減るんです。未来バンクはその浮いた電気代から、ローンを返してもらうようにしています。

 この仕組みだと、ローンを背負っていても毎月の返済額は電気代の差額分なので、それまでの生活と変わりません。しかも、電気の使用量が減ってエコにつながる。さらにローンを返し終わったら、毎月返済していた分で孫に何か買ってあげたり、貯金したりすることができるということです。彼らは「誰かから何かを奪うのではなくて、みんながハッピーになるようなことをやっていきたい」と言っていました。

 彼らは「1つのアクションで3つくらい解決しないとダメだ」と言っているんですね。つまり、お金を融資して、冷蔵庫が売れるということは電器屋も潤うんです。そして、電気使用量が減って、CO2の排出量が減るので省エネにもなる。しかも、融資した方も利息(年利3%)でもうかると。

 ただ、今はまだNPO系の銀行は正規に銀行とは認められていないので、消費者金融からお金を借りたように扱われてしまう。キャッシュカードが作れなくなってしまったりするんですね。それで、鳩山由紀夫首相の時にそうならないように政策を提案していたそうです。だけど賛同してくれていた鳩山さん自身が辞任してしまって。どうしようという時に僕らが取材したというところです。「何とかなればいいですね」と言って、お別れしたのですが。

 例に挙げたトレーダーの方とNPOで活躍している方、全く方向性が違っていて、お互いの意見は相容れないものだと思います。でも、どの方も「日本の社会を良くしていこう」という気持ちにあふれていて僕らの気持ちはとても明るくなりました。「知識や才能があり、世の中に貢献しようとする、こんなすばらしい人たちがたくさんいる」ということにとても感動したんです。腕を磨いて自分の出番を待っている人がゴロゴロいると。

 一方、意見の違う方々が面白いように共通しておっしゃっていたのが、日本人は「選択をしていない」ということです。これからの国の姿として「安全で平穏で幸せだけど、貧乏な生活」と「エキサイティングで激しくて社会的に混乱は大きいけど、マッチョでリッチな生活」のどちらかの方向を選ばなければならないのにもどちらも選んでいない。

 本来は、世界の現状を分かっている人たちがみんなに知らせて、「こっちの方向に行かないとダメだ」と導いていかないといけないのに、みんなあまりに目先のことばかり追いかけている。「遠い未来を示し、国民に選択を迫る政治家やリーダーがいない」と嘆いていらっしゃいました。

 要は「これからの未来に中道はない」ということなんですね。中道を選んでいると中途半端に滅んでいくしかなくて、どちらかの生き方を選択しないとダメだと。それを選ぶためのリミットが近付いていて、「未来の世界を今からデザインしないと間に合わない」ということです。

 何人もの方からお話をうかがって感じたのは、みなさん社会を良くするために「これができれば本望で、死んでもいい」くらいの覚悟が漂っていて、「人間としてすごいな」と思いました。そういうお話を聞いている中で、「『C』でもこれがひょっとしたら本当のテーマになっていくのかな」という気がしました。

 また、僕たちの身の回りを見ても、「今、3〜5歳くらいの子どもたちが20〜30年後、僕たちより幸せになれているような気がまったくしないのは何でなんだろう」という気持ちもあったんですね。僕たちの親世代は70代に入りつつあるのですが、「子ども世代に迷惑をかけたくない」という意志を感じます。

 『C』をやり始めるまでは、世の中にこういう空気があることはあまり考えていませんでした。僕らはしょせん二次元の世界にいますし、アニメは道化のようなもので、ファンタジーとして人を楽しませるのがウリです。だから、現実世界とつながるよりは、ちょっと離れているからこそ魅力があるものなんです。

 取材でこんなお話をうかがいました。「欧州の山はみんなはげ山になってしまったのに、どうして日本の山はこんなに青々としているのか分かる?」と。森が育つには200〜300年かかりますよね。それは江戸時代くらいの方々が、自分たちが使うために切った分、新しく植えているからです。自分たちの世代には使えないのに。「未来の誰かのために、自分は得にならないけど何かをパスしていくという文化をもう1回思い出さないといけない」ということです。「それなのに僕たちは、先輩からもらった木は切りまくり、資源は使いまくり、財政的にも未来にツケを残しまくっている、こんなのでいいのかねえ」と。

 この問いは僕の中で大きなものになりました。もう悩まない!アクサダイレクト導入のポイント今、これだけ1人1人が日々生きることだけでも大変で不安な時代ですが、なぜ誰かに手を差し伸べるのか、見たこともない人に何かをあげようと思えるのか、ということです。それがどうやったらドラマになるんだろうという感覚から、『C』は多分構成されているはずです(笑)。

 そんなわけで、“金融街”という異世界でバトルをするという『C』の物語は現実世界と離れているようでいて、実はこっそりつながっているというところがミソです。こういう目的を果たせる作品が作れたら、日本で映像メディアの果たせる役割の幅ももう少し広がるのではないか、というのが今、作っている実感です。

●自分たちの中から出てくるものだけ作るのはもういい

――今までの作品でも取材は重視されていたのですか?

中村 僕は『C』の前に『空中ブランコ』(2009年)というアニメを制作しました。奥田英朗さんの小説をもとにしていて、直木賞も受賞している強力な原作でした。

 心の病を扱った作品だったんですね。自分の周りにもそういう病気が原因で亡くなった方がいて、「軽く笑って済ませられないぞ」という覚悟のもと「現状を知らないといけない」ということで取材することにしました。人を楽しませるもので傷つけたくはないので、「何をやると誰を傷つけるか」が知りたかったのです。

 テレビで放映すると、見る意思がなくても偶然見てしまう確率が非常に高い。また、視聴者に間違った知識や偏見を広めてはいけないので、ギリギリまで調べようと思いました。最新の精神治療に携わる現場の方々が何を考えて、患者にどう接し治療に当たっているのかといったことを詳しくうかがって参考にさせていただきました。

 そういった経験の中で新しくオリジナル作品を作ろうと考えた時、「自分たちの中から出てくるものだけ作るのは、しばらくもういいかな」と思ったのです。

 僕たちが持っているものは、アニメを作る技術だけなんです。アニメの有利な点は、「堅いことをやわらかく描けること」「当たり前のことを素直に届けられること」だと思っています。僕のミッションの1つとして、「そういう機能をアニメ業界の外の人たちに開放したい」というものがあります。そこで、今回は内容も外にハンティングに行って探そうということで、取材を重視しました。今後もできれば取材をしていきたいと思っています。

――今回は最初からオリジナルアニメを作ると決まっていたのでしょうか。

中村 完全にそういう課題を与えられていて、逆に僕らが「原作ないの?」と戸惑ったくらいです(笑)。

●入り口を"スイーツ"に

――そうした取材を経て、『C』はなぜバトルものになったのですか?

中村 最初は経済や金融をネタにしようとしていて、その次に貨幣をネタにしようとなって、最終的にはシンプルに広くお金をテーマにしちゃえばいいじゃんと変化していったんですね。

 その過程で、闇金をネタにした漫画や、『カイジ』のようなギャンブル漫画も読んだのですが、お金をテーマにした作品だと「お金が人を狂わせる」という方向に行きがちなので、「僕らはちょっとそっちには行きたくないな」という気持ちがありました。

 シリアスだけど、ネアカに行きたい。見ている人が眉間にしわを寄せるものはあまり作りたくないと。入り口は柔らかく甘くて、スイーツのようなアニメと思って見ていたら、結構ハードな話を見せられてしまったというような作品を目指しています。だから、経済もの、金融ものと見られるのは実は不本意で、まずはバトルものということで見ればいいじゃないかと思っています。見てみたら、「成長率とかインデックス投資※とかいろいろ出てくるなあ」みたいな。

※インデックス投資……特定の市場を代表する指数(日経平均株価など)に対する投資のこと。

 投資に興味がある人にとっては、インデックス投資のような用語はいまや常識ですが、まったく聞いたことがない人もいるはずなんですね。一方、よく知っている人たちには、「M&A用語をこんな技の名前にしちゃって、バカじゃないの」と笑って見てもらえればいいですし。

 アレンジの面白さも見てほしいですね。バトルの中で企業買収や経営権委譲などがどのように表現されているか。結構割り切って大胆にアレンジしているので、中学生くらいで『C』を見た人が、大学で経済学部とかに入った時に「だからそういう風にしたんだ。バカだなあ」と答え合わせしてくれればいいと思っています。本当に肩ひじ張っていないので、経済などに興味を持つスタートラインとなればいいなと思っています。

――首都圏の震災を描いた『東京マグニチュード8.0』や、AR(拡張現実)・ニート問題などを描いた『東のエデン』のように、ノイタミナという枠では社会性を持ったテーマを取り上げることも多いですが、『C』でも意識されましたか?

中村 ノイタミナということででは、完全に意識していないですね。残念ながら。

――「こういう経済系のバトルものをやってみたい」と、ノイタミナのプロデューサーに伝えたらどんな反応でしたか。

中村 言ったら、ハハハと笑っていましたね。

 僕らのチームのオリジナルアニメの企画は7〜8つくらいあったんですね。もっと漫画チックなものもありましたし、もっと地味なシリアスなものもありました。テーマもバラバラです。バラバラな中から1カ月くらい喧々諤々(けんけんがくがく)の議論をして、『C』に決まりました。

――ノイタミナを放映するフジテレビは、ライブドアとの一件も想起させるので株式市場のことなどをテーマにすることには拒否感があるかとも思ったのですが。

中村 むしろプロデューサーからは、「元ライブドア社長の堀江貴文さんに取材に行ったら?」とも言われました。ただ、今回はタイミングが悪かったのかお目にかかる機会はなかったですね。

●ノイタミナはテレビっぽい

――作品としてのゴールは経済入門のようになればというお話があったのですが、ビジネス的なゴールはどこにあるのですか? 

中村 監督になった時、「作品を作るのにどのくらいのお金が投資されているか」といったことを別室に呼ばれて、レクチャーされたことがあります。「いいかお前、監督になったということはこういうことだぞ。だから、分かっているだろうな」というように。

 僕は基本的に頼りないので(笑)、面倒見のいい方にかわいがっていただいたりしたのです。監督デビューがノイタミナですから、フジテレビの方々に育てられたという面はあります。お金の話を聞いて、僕としては「それはそうだろうな」と感じました。自分なりに理解したつもりです。

 視聴率は昔は言われていました。テレビ局からというより制作会社の方から言われることがありましたが、でも最近は言われないですね。

――では、何がゴールになるのですか。社会にインパクトを与えられればいいということですか。

中村 きれいごとを言うと、ノイタミナがあることによって、アニメ業界が一色にならず、多様性が維持できると思うのです。実験や流行と違うことができたりするので。

 アニメで売れるジャンルは、実はそんなに何種類もないんです。ノイタミナはそういうものには背を向けた、クセのある作品を作っていて、へそ曲がりの人にとっては面白い枠だと思います。「ほかのアニメは見ないけど、ノイタミナなら見てやるよ」という人は正直いると思いますし、年配の方に「私は普段アニメを見ないんだけど、あなたの作っているものは見たのよ」と言われることもあります。そういう方はソフトも買わないし、ネットでも発言しないので、サイレントマジョリティのようになっているのですが。

 放送を楽しみにしている人が多いということで、ノイタミナはテレビっぽいですね。コンテンツ(DVDやBlu-rayなど)で稼ぐビジネスモデルのはずなのに、放送っぽいというか。

――かつてのフジテレビの「楽しくなければテレビじゃない」みたいなノリですか。

中村 というよりも、正直に言うと、「当たり一辺倒な、つまんないものは作るなよ」みたいなプレッシャーはありますね。「どこでも作れるようなものは作るな」「うちだから作れるものを作れ」というような。

●建設的な道化師を演じたい

――東日本大震災はアニメの制作現場にどのくらい影響を与えているのでしょうか。

中村 スタッフの家族が被害にあわれたりもしました。また、テレビの報道などを見て、仕事が手に付かなくなったりということが実際にあります。スタジオでも「アニメを作っている場合じゃないよ。今すぐ俺たち現地に行った方がいいんじゃないか」みたいな話が出たこともありました。

 震災直後のアフレコでは、キャストさん含めて全員で黙祷しました。「キャストたちでも何かあった人がいるんじゃないか、気持ちが集中できないんじゃないか」と考えて「みんなでとにかく祈ろう」と提案して。

 作品内容にも影響は出ていないとは言えません。物語を大きく変更するようなことはありませんが、演出や絵、言葉の表現については慎重に検討しているところです。

――攻撃のエフェクトなどで水はよく使われますよね。

中村 そうですね。作品を見てつらい気持ちになってほしくありませんから、それでつらくなるなら、正直「全然変えますよ」という感じですね。嫌々ではなく、むしろ「積極的に変えよう」という感じでみんなやっています。

――スタジオで「アニメを作っている場合じゃないよ」という人もいる中で、あくまでアニメを作り続けているわけですが、そこにはどういった使命感があるのですか?

中村 黙祷したアフレコの日にも言ったのですが、僕自身も今までの人生の中で、いろいろとしんどかった時がありました。体調が悪くて検査をしたら結果が思わしくなくて、「命にかかわる深刻な病気になったんじゃないか」と本気で考えて不安になったり。

 結果それは何ともなかったのですが、そういう時に気を紛れさせられる、あるいはその時間だけ嫌なことが忘れられるというように、僕はアニメはつらい人の痛みを和らげたりするためにあると思っています。「今週これがあるから頑張って今日は会社に行こう」「今日の夜帰ってきたら見られるから楽しみにして行こう」というような。

 今、元気な人まで落ち込んでいったらまずいので、僕らはまるでまったくダメージがないかのごとく振る舞って、けろっと作品を作り続けようと思います。もちろん、余計なことをしないように、気を付けながらですが。社会に対して建設的な道化師のようなものを演じたいです。『アンパンマン』を見て震災で被害を受けた子どもたちが笑ったりするように、そういうことの延長線上に僕らの仕事の唯一無二の意義があると思っています。「誰かのためになればいいな」と思って作っています。

――今回の震災では「『魔法少女まどか☆マギカ』の最終回を見るまでは死ねない!」という被災地などでの声も見かけました。

中村 そうです、そういうのが大事なんですよ(笑)。それがまさにアニメの本質で、例えば映画でも音楽でもお笑い漫才でもそうだと思います。「世の中になくてもいんだけど、でも何かあった方がいいような気がするもの」はたいてい、そういうものかなと僕は思うんですよね。『C』もそういう風になればいいな、と思っています。
●『C』

主人公の余賀公磨は都内の経済学部に通う大学生。幼い頃に父が蒸発、母も病死し、母方の叔母に育てられた彼の夢は、公務員になりマイホームを持ち、平凡に暮らすこと。そんなある日、公麿の前に怪しい男が現れ、「あなたの未来の可能性を担保に、お金をお貸しします。そのお金を、あなたの才覚で運用してみませんか?」と誘う。戸惑い恐れながらも、男に案内されてたどり着いたのが"金融街"。そこで公麿はアントレプレナー(起業家・プレイヤー)となり、「真朱」というアセットとともに、日々繰り広げられている「取引(=バトル)」と「投資」というゲームに勝ち続けなくてはならないことを知る……。

フジテレビ「ノイタミナ」で4月14日から毎週木曜24時45分に放送(初回は25時5分から)。関西テレビは4月19日から毎週火曜25時58分〜、東海テレビは4月21日から毎週木曜26時5分〜。寝ている間に生命保険が大幅に改善


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Posted at 07:24 in Model | WriteBacks (0) | Edit
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